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★★スコーレ・マスターズ通信★★ 第16号
平成18年8月1日

■ 首都圏「生きがい講座」開催:230名参加 
     
 7月22日「生きがい講座」を渋谷で開催。講師に心身医学研究所長 税所 弘氏をお招きし、『心身の健康と生活リズム』〜朝型人間の秘密〜の演題で「 朝型人間」 の効用についてお話をいただいた。

 当日の参加者は230名、前年の175名を大幅に上回った。今回も、男性もしくはご夫婦での参加を呼びかけたので、男性参加者数は130名の多きに達した。特筆すべきは多摩大学の学生さんが大槻先生の呼びかけで多数参加されたことでした。
 永池会長の開演挨拶の後の税所先生の講演内容はおおよそ次のとおり。
(1)人間には@体性神経…自分の意志でコントロール出来る神経とA自律神経…心臓など自分の意志でコントロール出来ない神経がある。その自律神経には交感神経と副交感神経があること。そして、人間は組み込まれた体内時計を持っていて、朝5時〜夜9時は交感神経(朝起きて働く神経・緊張の神経)が働き、夜9時〜朝5時は副交感神経(夜に休む神経・弛緩の神経)が働く。
(2)体性神経は自律神経に大きく影響を与え、体性神経(意志力)が弱くなると自律神経も弱くなること。
(3)早起きするという行為は「明日は早起きするぞ」という心構え(意志・決意)で、当日の体性神経を使って意志を現実化させることであり、この繰り返しで早起きが習慣化し、体性神経(意志力)が強くなる。「朝、ガバっと起き、余り考えず、行動すること」が良い習慣を作る。毎日出来ずとも、週2回でも習慣化することが大切である。
(4)人間の起床リズムで最良は@早寝・早起き、良はA遅寝・早起き、最悪はB遅寝・朝寝坊である。遅寝・朝寝坊は、当初はストレスはあまりない。しかし後日大きなストレスを生む。そして心・脳を退化させる。日本の主婦は夫より早く起き、遅く寝るという習慣の中で、世界でも目だって短時間睡眠なのになぜ、世界一長寿なのか。早寝・早起きのリズムが人を活性化するといえる。

講演の途中、会場の全員に「さわやか体操」を指導、会場の空気を転換。会場にあらかじめ配布されていた資料を使って参加者自身が自律神経失調度合いを判定できる「自律神経失調テスト」を実施。参加の方々の興味を引きつけた講演となった。
 講演後、4名の方の質問があった。いずれも良い質問で、@知り合いの方の遅寝・朝寝坊の改善へのアドバイスの仕方、A自分の遅寝・朝寝坊の改善方法、B夫婦で片方が遅寝・朝寝坊であるときの夫あるいは妻のありかた、C仕事の関係で夫婦の生活リズムが異なる場合の考え方の4件。先生は夫々が実践出来る範囲で行動し、考え方を変えることで十分効果がある旨の回答をされた。参加者の満足感の中で、三橋代表幹事の閉会の辞があって講演会は終了した。(岡本一誠記)


■ ただ今、役者修行中
 
    北澤 正昭 
 スコーレ・マスターズ会員(京浜・城西)北澤正昭氏が彩の国 さいたま芸術劇場の高齢者劇団員オーディションに挑戦、見事合格。現在レッスンに励んでおられます。その、挑戦と決意を一文にしてもらいました。

 昨秋、蜷川幸雄氏が、彩の国さいたま芸術劇場の芸術監督に就任することが決まり、抱負を語る新聞記事がでた。高齢者による劇団を作りたい、というその話に、何故か「ああいいなア」と吸い込まれてしまった。まさかその時、プロの集団で、しかもたった20人の定員と思わなかったのが、うかつといえばうかつだったのだ。具体的な募集要項を取り寄せて、蜷川氏の次の言葉を読んだとき、 もうボクは「オレは役者になるんだ」と思いを固めてしまった。 『年齢を重ねるということは様々な経験を、つまり深い喜びや悲しみや平穏な日々を生き抜いてきたということの証でもあります。その年齢を重ねた人々が、その個人史をベースに、身体表現という方法によって新しい自分に出会うこは可能なのではないか?ということが、私が高齢者の演劇集団を創ろうと思った動機です。私たちは、俳優教育を受けて身体表現者、 つまり俳優になろうと思う人、その可能性にかけてみようと思う人を募集いたします。…』
 大学入学の際のオリエンテーションで合唱団のハーモニーに心を奪われてしまって以来40年以上、いろいろな形でコーラスを続けてきたが、歌い手としてプロになろうと思ったことはないし、無論、なれるなどとおこがましい気を起こしたこともない。『身体表現者、その可能性にかけてみようと思う人』という一点にボクの気持ちは集中してしまった。
 応募用紙には写真二点(バストアップと全身の立ち姿)を貼付、応募の動機・自己PRを記す欄があり、まず一次選考で書類審査するという。その後オーディションを2日間行い決定するというのが当初の予定だった。書類審査で落っことされちゃたまらない。募集締切日の前日まで約1ヶ月間ああでもないこうでもないと考え届けに行くその日にようやくなんとか書き込んだ。写真はやっぱり素人のスナップなんかじゃない写真館で撮ってもらおう、その時着るものはこうしよう。予想をはるかに上回る1,000人以上の応募者があり、 55歳以上という規定を満たしている人は全員オーディション、即ち蜷川氏が会う、と知ったときには、ちょっとガックリした。チェーホフ「三人姉妹」からの軍医のセリフを覚え、意外にも思い通りに言い終えたときには、ちょっと手ごたえを感じた。「さいたまゴールド・シアター」には現在46人のジイさんバアさんがレッスン中。今のところ誰も落伍者はいない。ボクの視線は1年後のもっと先。100歳になるまで舞台に立っていたいという気持ちでいっぱいだ。



投稿コーナー

  職場で「 うつ病」
      町田・相模ブロック  菊地 啓


 こんな病気は私には関係無いと思っていました。ところが、最近になって、会社で立て続けに2人が(うち1人はごく身近な職場で)「 うつ病」 になってしまいました。2人とも、40歳前後の働き盛りです。「えっ、まさか」という感じでしたが、現実として受け止めなければなりません。1人は、症状も重く、しばらく休職するような状況です。もう1人は、数日休んで復帰しました。
 この病気は、どちらかと言うと隠そうとする傾向があり、お客様には、「 体調が優れない」 とか「 代わりの者がフォローします」 と苦しい説明をして、その場を繕う日が続きました。病気になった本人ばかりか、周囲も含めて嫌な思いをしてしまいました。
 「うつ病」は、一般的にストレスが原因と言われていますが、身近な所でこの病気に直面するとは、思っても見ませんでした。心の健康がいかに大切か痛感した次第です。
 スコーレでは、心身の健康が話題になりますが、体は健康そうに見えても、ストレスやプレッシャーというものが、知らず知らずのうちに私たちに襲い掛かっているということを感じました。今後とも、ストレスに負けず、心身ともに健康でいられる様、スコーレを学んで行きたいと思っています。


 2006年5月4日4時〜22時
      青葉・都筑ブロック 霜田千代松

 今年のゴールデンウィークは久しぶりに家族 5人揃って出かけることが出来ました。普段の土・日でも子どもたち三人は夫々の部活で練習、試合と忙しく家族全員で行動することが出来ませんでしたが、5月4日全員の休みが一致したので私の生まれ育った群馬の田舎へ出かけました。ドライブ途中での川遊びなどを楽しみましたが、折りしも山の木々の芽は新緑、そして桜は満開。新緑の山腹に映える山桜、谷あいの薫風に泳ぐ鯉のぼりの群れ、その光景は懐かしく、優しく目に映りました。田舎の家から更に10キロほど行くと子どもの頃よく釣りをした標高1300mの高原に湖があるのですが、訪れてその光景にまた感動。水色の湖面はなく、残雪の白銀一色の別世界、湖上の雪上散歩を楽しみました。昔からの知人である売店の皆さんからの厚いもてなし、帰る度に快く迎えてくれる親戚、長兄家族、皆に感謝。
 そして、自分を育んでくれた田舎の美しさ、素晴らしさに改めて想いを強くしたこと、その風景を家族に見せてあげることが出来たこと、自然の美しさ、人々の優しさを家族共々享受したことなど、日帰りではありましたが、家族としての“共有”の感覚が多くあり、運転の疲れも感じない充実した一日でした。

■ 人生学講座
連 載
人生の美学を子どもの心に育てる A


中国地区 横田将良


食べることの喜び


 最近では、食生活の見直しという言葉がよく聞かれます。子どもたちが、「むかつく」「キレる」といった問題も食生活の乱れに関係があるとも言われます。
 一緒に生活するようになって、何事にも興味を示さない彼女が、食べる事に関しては強い関心を示すことで私たち夫婦は救われた気がしていました。食卓に着くと、「まあ美味しそう」とひときわトーンも高く、嬉しそうな声音です。「ああいいな、幸せ」の連発。「家だったらこんなの一人でまるまる食べられないよ、家だったら一寸遅いと皆に取られてしまうんだよ、姉妹喧嘩をしても怒られるのはいつも私なんだから」等など彼女の言葉の片鱗から、家族の多い中での生活を伺い知ることができました。また「家には私の居場所がない」とポツンと言った言葉に不登校の原因はこのへんにあるのかと思いました。
 食べるということは、リラックスすることだと言われます。まず、食べることから心をほぐしてやろうと食欲旺盛な孫娘のために家内は心を砕いているようでした。ある夕食時のことです。「やったー私の方が勝ったー」と喜んでいる。「何を喜んでいるのか」と聞くと「おばあちゃんちの夕食は豪華なんだと友人にメールで写真を送ったらすぐ返事があって、友達んちの夕食を写真で送ってきた」と言いました。私たち夫婦は、そのやることの早いことに驚くばかりでした。


食事の支度上手な孫娘

 それから、家内はスコーレの全国指導者会議で上京する日がやってきました。切羽詰った家内は、「明日の朝、五時には出かけるから、おじいちゃんのお世話をお願いします」と頼んだそうです。すると即座に「目覚ましかけておこう、寝坊したらいけないから」と返事が返ってきたそうです。翌朝、二階に上がってみると、音楽がかかっていた。つけっぱなしで寝たのか、朝起きなければと思って、緊張してつけて寝たのか、定かではなかったが、家内は、食卓の上に孫娘のHちゃん宛の手紙を書いて出かけていきました。正午過ぎ、東京から心配して「Hちゃんきちんと食べさせてくれましたか」と電話が入ってきました。お茶の入れ方一つも妻がする通りにきちんとしてくれることに驚きました。
 このことが突破口となって話がほぐれ、コミュニケーションがとれました。その後も活動にあけくれている家内は思い切って昼食の支度を頼むようになりました。「いいよ」と二つ返事。材料だけ出して頼んでいました。途中で「少しは見てやらないとだめだよ」と家内に言っていると、その時、「出来たよ」と呼ばれて、驚くと言う一幕もありました。家内は、Hちゃんのよいところ・特技をみつけた、凄いとこ見つけたと言って喜び、「ありがとう助かったよ」と言っています。私も同感でした。


食事タイムが孫娘を変える

 数年前、私の病気が元で、我が家の食事はほとんど和食中心です。血液サラサラレシピとか、食べる免疫力などの本を買いこんで作っていましたが、今では宇野千代さんが九十六歳ころ書かれたお惣菜の本をお手本にしています。自然であること、体によいこと、おいしく食べること、誰でも今すぐ出来るものばかりです。彼女もまたその料理を作る時には、感性がいきいきしています、家内の見よう見真似で色々なお皿に盛り付け、食卓の雰囲気づくりを楽しむようになりました。時々チーズをてんこ盛りにしたピザトーストを作ったりしていましたが、基本的には、年老いた二人に合わせてくれました。
 会長の著書「生き方の基本」の中に『人は幼いころから、人とこころを共有する素質を伸ばすために親との愛情の交流を持ち、家庭での共同生活を経験して育ちます。こうして人生の危機に対する防波堤が作られていくものです。』と書かれています。食事の時間を決めていたことがよかったと思います。見たい、聞きたい番組があってもテレビのことには一切触れず食事タイムを楽しめる孫娘になっていました。これも現代っ子気質なのだろうかと思いました。
 時間的にけじめのない生活をしていた孫娘でしたが、或る日、その生活を変える突破口が見つかりました。  

(つづく)


■ 事務局便り

Webmasterより

   藤田和弘
 第15号でも特集を組みました宿泊研修・総会について “マスターズ・ブログ”にも掲載しています。特に、研修Uの分科会の討議内容や、永池会長の総括もお聞きになれます(*注記)。 参加者以外の方からもご意見、ご感想をお待ちしております。ブログへのコメント、Patioへのコメント大歓迎。是非、アクセスしてみてください。ブログのURLは、http://www.schole-masters.org/blog です。
(*注記:ログインが必要です。メールニュース会員登録していただくと、ユーザID・パスワードをお知らせします。登録希望者は webmaster@schole-masters.org まで)


青朱白玄・春夏秋冬

 定年、サラリーマンにとっては確かに一つの大きな節目であることに相違ありません。私は、その定年からかなりの年月を過ごしてまいりました。しかし、何らかの変化を特に感ずることなく過ごして来ました。
 まあ、変化を感じることなく来たのにはスコーレがあり、また地域の老人クラブ活動等があるお陰かと思われます。とはいっても長年の労働、勤務からは解放されており、なにか余裕ができた実感は十分にあります。
 そして昨今特に感ずることは、何事でももう少し掘り下げてみたい、言い換えればもう少し極めてみたいな気がしてなりません。長年忙殺され、通り一遍で済ませてきた様な人生でした。
自分が薄っぺらだったと思うのです。
 じゃあ何を掘り下げたいんでしょうか。これもまた対象が多いんです。近隣散策、園芸、囲碁、読書と限りがありません。結論は急がずじっくり向き合って勝手に自己満足を得なさいと言うことになりましょうか。なかなか人生楽でないと思います。        (村下三郎)


■ 編集後記
  北澤さんから頂いた原稿を読ませていただき、その強烈な目的意識に感服していたところに7月22日の生きがい講座での税所先生のご講義、「目的意識を持つことで早起きが出来る。」とのお話に大いに納得しました。 
 また、実践を通して安心の自己暗示を増やし自信を高めよとの教えに再び感動しました。マスターズの学びはすべて役に立つ事ばかりです。
(今野洋一)



「当面の行事予定」 マスターズ事務局

@8月〜9月 上期マスターズ研修実施中
     ミドルコース 8/6、9/10
     シニアコース 8/20、9/24 (本部研修室)

A9月16日〜18日 木曽御岳「滝 行」

B10月〜3月   下期マスターズ研修開催
     ミドルコース 10/8/、11/5
     シニアコース 10/15、11/12
    (12月以降は略。本部研修室)

C10月20日(予定) マスターズ通信第17号
    発行(広報委員会)

D11月18日(予定) 第6回川上杯ゴルフ(場所未定)

E12月16日 首都圏地区交流会(町田エルシー)




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    スコーレ・マスターズ 広報委員会
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