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★★スコーレ・マスターズ通信★★ 第25号
平成20年3月25日

■ 第5回岐阜「生きがい講座」
子供たちに伝えていくもの

 2月10日(日)、第5回岐阜「生きがい講座」をじゅうろくプラザ岐阜で開催。雪も止んだ快晴の中、昨年と同数の90人が参加。若いご夫婦も目立つ中、幅広い層が会場を埋めました。岐阜市議会議長 浅井武司氏より「人生において大切なものを見つけていかなければなりません」と来賓のご挨拶を頂戴し、続いて永池会長が「子供たちに伝えていくもの〜モラル欠如の今日、父親のあり方は」と題して講演されました。

 今回の講演は、家族とどう向き合うべきか、私自身思い当たる節があり、深く考えさせられる機会となりました。自分も親に対して許せない感情を少なからず持っており、普段の会話でもそれが無意識のうちに出てしまうことがあるのです。きつい口調で喧嘩腰のような受け答えをすることから、悪いことに私の長男がその口調をまねをするようになり、かねがねこのままでは良くないと思っていたからです。
 会長は「自分がこれからどう生きて行くか、人に対して許すことで生き方も変わる」、「親の嫌な部分ばかりをつつかない、親が自分にしてくれてありがたかったことが必ずあるはず。それをよく思い出すことから始めては」と言われました。
 確かに最近は嫌なところばかりに目が行き、今までしてくれたことに対して感謝の気持ちが薄れていたのは事実です。
 私にとって親を許すことは、頭では理解していても、すぐ実行とはいきませんが、「時間はかかるが、あせらずゆっくりやればよい」とのことなので、できるところから少しずつやっていこうと思います。
         (宮西 良茂)

【講演内容】
 自分の心の中に許せないものを持っているかどうか、自分の父親・母親に対して許せない部分があるかどうかを問うてみること。親の嫌な部分ばかりをつつかない。親が自分にしてくれてありがたかったことが必ずあるはず。それをよく思い出すことから始めてはどうか。自分がこれからどう生きて行くか、人に対して許すことで生き方も変わる。
 どういう言動で夫または妻の機嫌が良くなるのか(悪くなるのか)を観察することで、夫婦円満のヒントが見えてくる。夫婦喧嘩はやってもよいが、いつまでも引きずらないこと。癖についてはお互いあきらめる。今から指摘しても直すのは困難。子どもは親からきちんと評価されることを望んでいる。
【質疑応答】
質問:転勤により遠くへ転居しなければならないとき、子どもに対してどう接すればよいか。
回答:親が不安がらないことが大事。不安な素振りを見せると子どもも不安になる。



【予告】首都圏生きがい講座
講師に薬師寺管長 安田暎胤師
 今年度の首都圏生きがい講座は7月19日(土)午後1時30分から昨年と同じ渋谷のシダックスホールで開催されます。講師は奈良 薬師寺管長 安田暎胤師にお願いしております。演題は『まほろばの心』です。因みに現在、東京国立博物館平成館 (上野公園)では、平城遷都1300年を記念して薬師寺展が開催されています。


■ 新年度本部研修
  新年度4月からのマスターズ研修(本部研修室)は次の日程・要領で開催されます。月2回の開催ですが、従来とは異なり、「心身開発トレーニングコース」と「人生学コース」の日に区分されますので、ご注意下さい。
 受講料は、「心身開発トレーニングコース」「人生学コース」それぞれに5,000円(上半期)です。「心身開発トレーニングコース」と「人生学コース」のダブル受講は7,000円(上半期)となります。日程は前ページに記載のとおりで、いずれもスコーレ本部研修室で開催されます。体験参加も受け入れていますので是非ご参加下さい。
※ 6月はマスターズ総会を兼ねた「箱根湯本ホテル」での宿泊研修となります。
【参考書のご紹介】新入会員にお勧めします。 
・こころの添え木     (1,500円)
・危機管理・対応事例集   (500円)


「心身開発トレーニング」と「人生学」の2コースに再編成されます

*心身開発トレーニングコース (10:00 〜 12:30)
<リラクゼーション禅> 山下相談役
<ボイストレーニング> 藤田・柴原各委員(トレーナー)・小川本部長
<ボイストレーニング(朗読練習)> 北澤委員
トレーニング後、昼食懇談会(500円)を開催します。

*人生学コース         (10:00 〜 12:00)
第一部【60分】<実践体験の事例発表> 講師養成講座メンバー
第二部【50分】<会長講話&質疑応答> 永池会長・小川本部長

投稿コーナー

広 州 短 信
    中央地区  今野洋一 

昨年4月に広東省広州市に赴任して、約1年を過ごしました。
 「食は広州にあり」と言われるとおり、豊富な海の幸と山の幸にめぐまれ食べ物が美味しいところですが、最近の急速な工業化とモータリゼーションの発達により大気汚染がかなり進み、喉の痛みや声のかすれ、咳と痰がよく出ると云った症状を多くの人が訴えているのが現状です。
 また、相変わらず地方の農民の所得は上がらず貧しい生活を続けている一方で、沿海部や都市部の一部の富裕層の豊かさは日本人のそれをも凌ぐ程になっております。
 中国政府の一人っ子政策も、政府に年収相当分の上納金を納めれば、二人目以上が認可されると云うように、富めるものには様々な抜け道が与えられているという不公平が存在しているのです。
 「お金さえあれば何でも出来る」という現実が中国の人々を拝金主義、物質主義に走らせているように思われます。さらには、夜間残業は50%増し、休日出勤は100%増しの賃金を得られることが彼らを仕事に駆り立てているように思われます。
 消費者物価指数の増加率は、年々10%に届こうかと云う程急激な数値を示し、賃金の上昇率も同様です。まさに高度成長期のど真ん中、一日一日技術革新が進み新しい商品が売り出され人々の欲望を刺激しているようです。
 数年前まで小さな国産車しか購入出来なかった人達が今や日系メーカーの上級車を購入しています。週末の高級レストランは家族連れでにぎわい、平日の夜は接待の会社員が高級食材の料理を前に高級酒を酌み交わすと云う姿はまさに20年前の日本のバブル期の様相を呈しています。
 一人っ子政策で過保護に育てられた子どもは、レストランで傍若無人に暴れまわり、気に入らない事があれば大きな声を出して騒ぎ、それを注意しない親がいる状況です。加速する老人問題もやがて顕著になるでしょう。
 中国人は家族を大事にし、血縁を重んじるという伝統があります。血縁を重んじることが出身地を大事にする意識に繋がり、私の社内でも、出身地同士だけの仲間で固まったり、特定のグループを作ったりしている従業員もいます。
 中国は、方言、気候、食べ物、習慣をまったく異にする地域の民族が一つの国家を維持している多民族国家です。彼らの履歴書には漢族、朝鮮族、といった出身民族を記載する欄があるのです。このことが彼らを個人主義にさせる理由だと感じました。
 人の目を気にしない、自分の主義主張をはっきりと言う。10億を超える国民の中で自分を主張しなければ生きていけない環境と、恥を気にしていては生きていけない社会。
一か八かで全財産をかけても勝負する時は勝負する。ハイリスクハイリターンにかけるバイタリティー、失敗して無一文になったとしても平気で、乞食になってもリヤカーを引いて裸一貫で出直してでも堂々と生きる彼らのしぶとさ、したたかさには舌を巻きます。彼らは生きることに貪欲で負けない、このことは今の日本人が忘れかけているものではないでしょうか。
 今、日本でも、中国人はマナーを守らないことが報道されているようですが、彼らの立場に立って考え、良いところを見つけ出し、彼らに共感し、私自身が変わることによって彼らと共存していくことが今の私の修行であり学びであると思います。
 日本とは違う環境・考えを異にする人々と共に生きなければならない現在、スコーレの学びに出会えたことを感謝いたします。
 これからも一人早朝研修を実践し、自分を磨いてまいります。 




■ 人生学講座
連 載
スコーレから学ぶ人生の生き方C

京浜地区  長久保定夫

事例3:自然を大切にする
(弱者を助ける、いたわる、手を差し延べる)


井の頭線の車内で
 それは川崎で開かれた永池会長の人生学講座に娘親子と共に参加するために乗車した井の頭線の車内での体験でした。私の孫はまだ1歳になったばかりです。娘は今流行の対面ダッコ式のおぶい紐で子供を抱いていましたから座れたらいいなと言う思いで電車に乗りましたが、あいにく車内の座席は満員でした。娘は「大丈夫だから」と出入口に近い手すりに身を預けて子供をあやしていました。私は座席の一番端の席の前の吊革に掴まって本を読んでいました。
 すると私の前に座っていた女性が立ち上がりかけたので私は体を捻り、前を開けてあげました。その方は娘が子供を連れて乗り込んだのを見ていましたから多分、席を譲ってくれたものと私は思いました。私は小さな声でお礼を言い、娘に座るように合図を送りました。
 その時です。突然、1人の30歳ぐらいの若者が(男の子です)その席へ座り込んだのです。すごい早業です。私はあっけに取られ、娘も「なによ、この人は」というような顔をしましたが、直ぐに「座られたら仕方ないよ。私は大丈夫だから」と、また手すりに寄りかかり、何事も無かったように子供をあやしていました。我が子ながら母親は強いなと感心しました。そして、私は「もしかするとその若者は体が悪いところがあるのかも知れない、体調がすぐれないのかも知れない、だからどうしても座りたかったのだ」と思うことにしました。
 しかし、その若者の様子からは、そのような雰囲気は全然、感じられませんでした。本を読むでもなく、眠るでもなく、ただポカンと口を半開きにして時々、キョロキョロ廻りに視線を巡らすだけでした。娘親子を見ても何の感情を表すでもなく、私を見ても同じでした。私はその子が可哀想になりました。嬉しいこと、楽しいこと、悲しいこと、感動したこと、喜んだこと、喜ばれたこと、親切にしたこと、されたこと、辛い目にあったこと、幸福感を味わったこと、およそ、感情を表す体験をしたことがない悲しい人生を歩んでいるのではないか?と同情することにしました。結局、私と娘親子は渋谷まで立ったままでした。しかし、武蔵小杉までの東横線では親切なお嬢さんに出会い、娘親子は座らせて頂きました。そして、永池会長の講話も素晴らしく、感動をもって聞かさせていただきました。


スコーレとの出会い

 この井の頭線で出会った若者と東横線で出会ったお嬢さんと、そして、中央線で障害を持った娘さんを助けた方と席に座り込んだ若者も、何も出来なかった私を含めて乗り合わせた人達も同じ日本で生活をしている人達です。私も若い頃、20代30代は怖い物知らずで世の中は自分中心に動いている、自分の考えていることが一番正しいのだという思いで生活をしていました。先輩、上司には突っ張り、部下にはえばって我儘な生活をしていたと思います。その頃の事を思えば今の私は考えられない事です。これもスコーレに出会えたからです。 
 スコーレに引き合わせてくれた長男の同級生のお母さん、そして当時の井の頭教室を主宰していたSさんご夫妻―残念ながら今はスコーレから距離を置かれていますが―そしてスコーレで出会って沢山の感動と勇気を私に与えてくれた永池会長を始め、マスターズを含む会員の皆さんのお陰で、私は良い方へ変わることができたと思っています。


父親としての学習
 スコーレ誌で毎月、学習の成果として会員さんの体験談が感動を持って発表されています。私はここを読まさせていただくのが大好きです。書かれた方は勿論、沢山の会員さんと同じ感動を共有できる自分が嬉しいのです。私がスコーレに縁を戴いたお陰でこうもなれるのです。先程の若者達はまだ世の中のことを私の若い時と同じく知らないのです。私は50歳に近い年にスコーレに出会えました。先程の若者の親もそれに近いと思います。私の妻は現在、井の頭Bスクールの主査として活動しています。その過程で出会った家族の方の話を聞く機会があります。
 その中に家族の幸せを願って奮闘するお母さんがスコーレで勉強したいと言う気持ちを理解しないお父さんの例が何件かありますが、そう言うお父さんに共通していることがあると私は思うのです。気持が狭い、大らかさが少ない、嫉妬深い、家族や子供の問題では逃げの姿勢が見える(お母さんのせいにする)、自信を持って事に当たることが出来ない、他人の忠告を聞かない、等々……。
 そういう両親のもとで育った子供は往々にして自分勝手な行動をするこの事例のような若者になる可能性があると思います。間違った生き方をする家族や不幸な子供達を少しでも無くすためにスコーレの会員として、マスターズの一員として、これからも勉強を続けて世の中の役に立ちたいと思います。 (完)



■ 事務局便り

早朝研修の表彰者増える
 平成19年1月〜12月の早朝研修について下記の方々が表彰されました。年々早朝研修への熱心な参加者が増えています。新聞や諸種のメディアで早起きの効用が説かれています。良い習慣を身につける機会が毎朝開催されています。参加をお勧めします。
☆精勤賞(欠席10日以内)
長久保定夫(城西)、大槻博(多摩)、小林晃(八王子)
☆努力賞(300日以上出席)
藤田和弘、原健一、相沢一男(以上町田相模)
霜田千代松(青葉都筑)、米村陽(八王子)
笹井喜郎(富山)、近藤悠(石川)、中澤利治(北海道)

会 員 活 動 情 報
 マスターズ会員はご自身で仕事をされている方、仕事以外の色々な活動をされている方等多士済々です。本紙発行日の近くで、開催される会員の活動を情報として掲載します。お役立てください。今後もこの欄を適時掲載しますので、マスターズ事務局にご連絡ください。
★北澤正昭(京浜・城西)さいたまゴールドシアター「想い出の日本一萬年」
 3月27日(木)〜30 日(日)に出演 (演出:蜷川幸雄)
 会場:彩の国さいたま芸術劇場

★小川哲史(天点窯)(町田・相模)作陶展
 4月10日(木)〜13日(日)10:00〜19:00
 会場:町田市本町田3673

★大槻信幸(拳道学会:師範)(町田・相模)
 3月30日(日)13:00 昇級昇段試験開催
 会場:府中市立総合体育館 第二武道場  


青朱白玄・春夏秋冬
この時期天気のいい日には、全景ではないが白い雪を被った富士山を眺めながら通勤することが出来る。数十年前の高校生のとき、クラブ活動で富士登山をしたことがある。岡山から夜行列車で東海道を上り、河口湖経由でその日は8合目まで、翌朝御来光目指して頂上まで登り、お鉢めぐりを行った。御来光の感激もさることながら、剣が峰であったかどうか記憶が定かでないが断崖絶壁を覗き込み下界を見下ろすことができる場所があり、そこから見た景色は今思い起こしても足がすくむというか、身がすくむというかその恐怖心は忘れることができない。このような思い出のある山、世界に誇れる山であるのに、ヒマラヤを富士山のようにするなと言われるぐらい世界遺産になれない事情があるのは非常に残念なことである。
 こういう事情をつくり出すのはわれわれ人間であることに間違いない。美しい眺めばかりでなく、こんこんと湧き出てくる水など何にも変えがたい産物から、われわれはいろいろと恩恵を受けているにもかかわらず。
 水といえば最近、海外ファンドが日本の湧き水の取水権にまで触手を伸ばし始めていると聞く。今の石油と同様に投機の対象になるのではないかと考え込んでしまう。そのうち水も紙幣を持って行かなければ買えない時代が来るのかもしれない。         (梶田健二)


「当面の行事予定」

■4月〜9月:上期マスターズ研修(本部研修室)
■5月24・25日: スコーレ協会総会 (伊東ホテル聚楽)
■5月下旬:マスターズ通信第26号発行(広報委員会)
■6月14・15日:マスターズ総会&宿泊研修(箱根湯本ホテル)
■6月17日: スコーレの集い(京王プラザホテル)
■7月19日:首都圏「生きがい講座」(渋谷シダックスホール)
■7月27日:全国一斉・創立記念早朝研修(各早朝会場)

■ 編集後記
 先日、友人が待つ九州へ妻と旅をした。スカイネットアジア航空の便を予約してあったが、機体に異常が見つかり欠航で系列会社の別便を案内しているとのこと。1時間遅れのため楽しみにしていた予定行事には完全に遅刻。受付嬢はそれより早い便は無いとのこと。事情を説明しつつ、途方に暮れていたところ、傍にいた男性社員から少しお待ち下さいとの言葉。暫くして、全く別系列の早めの便に搭乗できるよう手配できたとのこと。本社の了解が取れたのでご心配無くと、10分以上かかる別ターミナルの窓口まで荷物を引いて同行し、搭乗手続きをして下さった。
 十分な余裕を持って空港に着いたことも幸いしたが、殺伐とした世の中にあって、損得勘定を抜きにして多くの時間を割いて親切にして下さった男性社員また賛意を示してくださった同社幹部の方に心から感謝。         (栗山榮治)




編 集:社団法人 スコーレ家庭教育振興協会
    スコーレ・マスターズ 広報委員会
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